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イリオモテヤマネコとツシマヤマネコの新たな違いを発見! ~同一種であるにも関わらず尿のにおいはヤマネコ間で大きく異なっていた~

掲載日2023.06.28
最新研究

農学部 応用生物化学科
宮崎雅雄
分子生体機能学

岩手大学は、北九州市立自然史?歴史博物館、琉球大学?鹿児島大学との共同研究で、国の特別天然記念物?天然記念物に指定されているイリオモテヤマネコとツシマヤマネコは、同一種の別亜種であるにも関わらず尿のにおいは人でも嗅ぎ分けられるほど異なり、それはイエネコの尿の悪臭成分としても知られている硫黄化合物(3-メルカプト-3-メチル-1-ブタノールとその構造類縁体)の揮発量がヤマネコ間で大きく異なっているためであり、イリオモテヤマネコの尿臭がツシマヤマネコの尿臭よりくさい原因になっていることを解明しました。
尿のにおいは、ヤマネコの縄張り行動に重要な役割を果たしていると考えられます。よって本研究成果は、環境省レッドリストで絶滅危惧種IA類に選定されているイリオモテヤマネコとツシマヤマネコの生理や行動、生態を解明する上で重要な知見であり、種の保全活動にも応用できると期待されます。これは岩手大学宮崎雅雄教授、同大市沢翔太大学院生らによる研究成果です。
本研究は、Frontiers Mediaが出版する科学雑誌「Frontiers in Ecology and Evolution」に万博体育3.0手机版5年6月28日午後3時(日本時間)に電子版で公開されます。

本研究成果のポイント

  • イリオモテヤマネコの尿は、ツシマヤマネコの尿よりくさい
  • 尿の特徴的なにおいの原因となる揮発性硫黄化合物「3-メルカプト-3-メチル-1-ブタノールとその構造類縁体」の放出量が、イリオモテヤマネコの方がツシマヤマネコより多い
  • 揮発性の硫黄化合物の原料であるアミノ酸「フェリニン」の排泄量は、ヤマネコ間で差がなかったので、フェリニンからにおい物質に分解される過程に差があると考えられる
  • 絶滅危惧種であるヤマネコ類の生理、行動、生態の理解や保全活動への応用に期待

掲載論文

掲載誌:Frontiers in Ecology and Evolution(日本時間2023年6月28日付け)
論文名:A comparative profile of urinary scent signals of two endangered Japanese populations of leopard cat
著者:Shota Ichizawa, Reiko Uenoyama, Nozomi Nakanishi, Yasuyuki Endo, Ayaka Suka, Masako Izawa, and Masao Miyazaki
DOI番号:doi:10.3389/fevo.2023.1194611

共同研究グループ

岩手大学:宮崎雅雄(農学部 教授)、市沢翔太(総合科学研究科 大学院生)、上野山怜子(大学院連合農学研究科 大学院生)、須賀絢香(総合科学研究科 大学院生)
北九州市立自然史?歴史博物館:伊澤雅子(館長、琉球大学 名誉教授)、中西希(学芸員)
鹿児島大学:遠藤泰之(農学部 教授)

本件に関する問い合わせ先
農学部 応用生物化学科  教授 宮崎雅雄
019-621-6154
mmasao@iwate-u.ac.jp